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明転すると壮絶な出産シーンである。
いきむ女。声をかける医者。もたつく看護士。
女の悲鳴。
医者が血まみれの赤子を取り上げる。
看護士「すごくコンディションのいい赤ちゃんです」
医者 「ああ、本当にコンディションがいい」
看護士「こんなにコンディションがいいのも珍しいですよ」
医者 「コンディションがいいなあ。素晴らしい」
女の声「医者も看護士もしきりに生まれたばかりの赤ちゃんのコンディションの良さを褒めてくれた。だけど、わたしはまず、性別を知りたかった。男の子なのか、女の子なのか」
医者 「最高のコンディションです」
女 「いや、あの」
看護士「ちょっと床に落としたりするなりしてコンディション崩さないと」
医者「そうだな、一般の赤ちゃんレベルまで落としたほうが安心かな」
男か、女か。
女の声「あたしの子どもは、そんな感じで、コンディション良く、生まれた」
歌舞伎町に生まれた超健康優良児の、稀有壮大な100年のお話。
強さだけが本当のトモダチだったーー
※本編にババアは出てきません。
出演者
東直輝
木村圭介
金佳奈実 (創像工房 in front of.)
古賀友樹 (天ぷら銀河)
酒井桃子 (天ぷら銀河)
武川優子 (あんかけフラミンゴ)
橘 麦 (e-factory)
永井久喜
平山智規 (CANDYROPE)
森川幸大 (東京ジャンクZ)
奥村徹也 >
※劇団名、所属等は上演当時のものです。
2015年4月15日(水)~19日(日)
@下北沢 シアター711
ART GALLERY
奥村コメント
もともとやる予定ではなかった公演でした。
第4回公演の準備を進めていたら、たまたま劇場から空きの連絡をもらい、下北沢というブランドに魅せられ準備期間もろくにないまま、劇場を押さえてしまったのです。
痛みも恐怖心もない男の子が極道の世界で成り上がっていくお話でしたが、時間のなさからほとんどヤケを起こして、思いつくがままに書き散らした結果、忍者の末裔やジョブズ、ゴリラなど新しいキャラクターがたくさん誕生しました。
時間がなかったからこそ、自分の中の行儀良い部分が出る前に本番を迎えることができ、物語は破綻1歩手前の今までで1番ナンセンスでロックンロールな作品になったと思います。
そのロックンロールのせいか「また観たい!」と言ってくれる人もたくさんいて、図らずも劇団献身のなんとなくの方向性が決まってしまった感があります。
ラストシーンで「死の灰を降らせたい」と言った結果、劇場入りしてからは毎日お花紙を5ミリ角に切る作業に終われましたがこれはもう自業自得で、それはそれで楽しかったです。
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